今回はアフリカを代表するクワガタムシである「タランドス」について紹介します。
飼育自体はそれほど難しくはないのですが、産卵させるとなると他のクワガタムシと比べると難しい種類です。
10年ほど前にはタランドスブームがありまして、その頃はたくさんのお店で販売されていました。
現在ではブリード数が減っていて販売数は少ない印象です。
でもタランドスは他のクワガタにはない独特な魅力があります。
一度は飼育してみたいクワガタに挙げる人も多いです。
タランドスの特徴や魅力に加えて、飼育・ブリード方法まで書いてみましたのでぜひご参考ください!
目次
タランドス(タランドゥス)はどんなクワガタなのか?
正式には「タランドスオオツヤクワガタ」もしくは「タランドゥスオオツヤクワガタ」といいます。
ビートルファームでは「タランドス」と表記してますがお店によって異なります。
学名はMesotopus tarandus。
オオツヤクワガタ属に分類されるクワガタムシです。
近種(同種?)にレギウスオオツヤクワガタ(通称 レギウス)がいます。
アフリカを代表するクワガタムシです。
タランドス(タランドゥス)の産地はどこ?
タランドスはアフリカのコンゴに生息しています。レギウスはカメルーン。
どちらもアフリカ最大クラスのクワガタムシです。
日本に入ってきた当初は野外個体も流通していましたが、現在では国内でブリードされた個体がほとんどです。
タランドス(タランドゥス)の魅力について。
タランドスはアフリカ最大のクワガタというだけあって、大型個体はものすごい迫力があります。
ギネスサイズは下記のとおりです。
タランドス
野外最大・・93.0mm
飼育最大・・90.8mmレギウス
野外最大・・93.0mm
飼育最大・・94.4mm参照:BE・KUWA69号 2018年10月時点
ギネスでは90mmを超える個体ですが、80mmを超えていれば超大型です。70mm以上でも迫力は十分。
オオツヤクワガタという名前のように、体全体に艶(ツヤ)があり「漆を塗ったようだ」とよくいわれます。
光沢があるクワガタは他にもいますが、タランドスは別格ですね。
体つきは太くがっしりとしていて重戦車のようです。力強いですし「タランドスに挟まれるのが一番痛い」という噂も・・。
また、フセツ(足)の側面に鋭いトゲトゲがありまして、これが持つときにけっこう痛いです。かなり危ないヤツだといえます。
他にもタランドス特有の面白い特徴がありまして、威嚇すると頭を上下に動かしながら体全体を震わせます。
携帯のバイブ機能のように「ブーブー」というのですが、実際に見てみると驚きます。
近種のレギウスはタランドスより少し細身で大アゴがあまり曲がらず伸びているのが特徴です。
レギウスのほうが流通量が少ないので同サイズだと価格が高くなるケースが多いです。
とはいえどちらも常時在庫しているお店はまずないと思います。手に入れたい場合は見つけたらすぐ購入するのがおすすめです。
タランドス(タランドゥス)の価格は10,000円~20,000が相場
タランドスは日本に初めて生き虫が入荷された当初はペアで数十万円もするという非常に高価なクワガタでした。
その後、飼育方法やブリード方法が解明されてくるにつれて流通量も増えました。
現在では平均サイズ(70mmUP~)のペア価格で10,000円~20,000円くらいが目安です。
もちろん80mm以上の超大型になるとさらなる値がつくことになります。
また他のクワガタと比べるとブリードなど特殊な虫のため、サイズが小さいペアでも値下がりはしにくいでしょう。
タランドス(タランドゥス)成虫の寿命・飼育方法は?
タランドスの寿命は約1年~1年半くらいと丈夫な種類です。上手く飼えば2年近く生きることもあります。
どのクワガタにもいえることですが、交尾・産卵させると寿命は短くなることが多いです。
飼育方法は特別なことはありませんが、温度管理は必要になります。20℃~25℃が理想です。
冬を越しますが冬眠はしませんので暖かい部屋で飼育してあげましょう。
極端に温度変化に弱い種ではありませんので、人間が快適に過ごせる温度でしたら基本的に問題ありません。
羽化してから2~3ヶ月ほどでエサを食べ始めます。
タランドス(タランドゥス)の成熟期間、ペアリング(交尾)方法について。
タランドスの成熟期間ですが、まず羽化してからエサを食べ始めるまでに2~3ヶ月ほどかかります。
たくさんエサを食べるようになってからペアリングさせましょう。目安としては羽化後4~6ヶ月くらいです。
飼育温度や個体差によって変わってきます。
ペアリング(交尾)の方法ですが、一番簡単なのはオス・メスを一緒のケースに数日同居させる方法です。
この際に注意が必要なのがオスによるメス殺し。
タランドスはヒラタクワガタほどメス殺しはしませんが、全く無いわけではありません。ビートルファームでもペアリング中に何回かメス殺しはありました。
オスの大アゴの形状から縛ることが難しいのでそこは注意が必要です。
タランドス(タランドゥス)のブリード・産卵方法は産卵木が鍵!
タランドスの産卵方法は当初はやり方が分からなかったため難しかったですが、現在では方法が確立されています。
産卵木に卵を産みつけるいわゆる「材産みタイプ」なのですが、通常のクヌギ材やコナラ材では産卵しません。
「人工カワラ材」もしくは「人工レイシ材」を使うことで産卵させることができます。
※写真は人工カワラ材
人工カワラ材か人工レイシ材どちらを使うのが良いのでしょうか?それぞれ一長一短があります。
簡単にポイントを説明すると下記のとおりです。
■人工カワラ材
人工レイシ材に比べ産卵確率は低め。孵化後、幼虫の生存率は高め。
■人工レイシ材
人工カワラ材に比べ産卵確率は高め。孵化後、幼虫の生存率は低め。
もちろん一概にはいえませんが、概ねこのような感じです。
そのため、人工カワラ材でしたら産卵後そのまま材の中で幼虫を成長させてから割り出せばいいのですが、人工レイシ材ですと割り出すタイミングが重要になるためそこは難しくなります。
タランドスの産卵セット方法はこのような感じです。
オオクワガタなどは複数の材に産卵するため産卵木を2~3本セットするのが一般的ですが、タランドスは1本のみでセットするのが良いです。
その理由はタランドスは一度産卵すると幼虫を守っているのか材から出てきませんので複数セットする必要がないからです。
菌糸の被膜と皮を剥いておきます。その際、メスが穿孔しやすいようにメスの大きさほどの穴を一ヶ所開けておくといいでしょう。
産卵用のケースは小さめのがおすすめです。とにかく産卵木とメスを向き合わせることが大事。あまり余分なスペースがあるとメスが遊んじゃいます。
ポイントとしては産卵木はマットに埋め込まずに置くようにセットします。マットに潜って寝ちゃうのを防ぐためです。
タランドスの産卵の特徴として、メスは産卵行動に入る前にとにかくたくさんエサを食べ続けます。
エサを食べている間は産卵しません。産卵行動に入ると材の中に穿孔し始めます。一度穿孔するとエサを食べずにずっと材の中に入っています。
そうなると産卵の可能性が大です。
産卵の温度は20℃~25℃くらいが適温です。冬季でも加温すれば問題なく産卵します。
また、タランドスは産卵木ではなくカワラ菌糸ボトルでも産卵させることができます。カワラ800㏄または1400㏄を使ってメスが穿孔する穴をあけておきます。それを産卵木のように横向きに寝かせておけばOKです。
タランドスの産卵ポイント まとめ
■産卵木は「人工カワラ材」または「人工レイシ材」を使用する
■温度は20℃~25℃を保つようにする
■産卵木は1本だけセットし、できるだけ産卵木に集中させるようにする
■メスが産卵木に穿孔するまでは根気よく見守る
■産卵木のかわりにカワラ菌糸ビンでも産卵させることが可能
タランドス(タランドゥス)幼虫の飼育方法と注意点について。
タランドス幼虫は菌糸ビンでの飼育がベストです。
ただ1点注意することがあります。
それは通常のオオヒラタケやヒラタケの菌糸ビンでは飼育できないということ。
タランドスの幼虫は必ずカワラタケの菌糸ビンで飼育する必要があります。
※写真は大夢カワラ800㏄ 一見するとオオヒラタケのようですが上部の被膜が厚くなります。
飼育温度は20℃~25℃が適温。
幼虫期間はオスで約8~10ヶ月、メスで約6~8ヶ月が目安です。意外と短期間で羽化するのが特徴です。
低温(20℃~22℃)だともっと期間がかかりますが、その分大きく育ちやすくなります。
カワラ菌糸ビンのサイズは2令までは800㏄。3令以降オスは1400㏄、メスは800㏄または1400㏄での飼育がいいでしょう。
逆に小さいサイズで早く羽化させたい場合には、オスでも800㏄に投入して1~2本で飼育すれば早く羽化しやすくなります。
タランドスの幼虫は菌糸ビン投入後、ボトル内を移動し続ける(暴れる)ことがあります。菌糸のまわりが浅いと暴れやすいです。
その場合は飼育温度を2~3℃低い場所に置いて様子をみましょう。
まとめ
タランドスはアフリカを代表するクワガタムシで、他のクワガタには無いような独特な特徴が多く実にユニークです。
写真では伝わりづらいですが、実物を手に取ればきっとその魅力に感動するでしょう。
成虫・幼虫の飼育は温度さえ気をつければ特別難しくはありません。
ただ産卵に関しては特殊なクワガタといえます。
いきなりの初心者の方というよりは、ある程度クワガタの産卵などに慣れた中級者向けの種類といえます。
寿命も比較的長いので飼育だけ楽しむのもいいと思います。
クワガタ飼育にハマっている方なら一度は飼育したい、そんなクワガタです。
今回は以上です。
それではまた!