オオクワガタは秋でも産卵するのか?
気になる方は多いと思います。
というのも、オオクワガタは季節の変化に敏感で夏が終わると産卵しなくなるケースが多いからです。
実際にビートルファームでも産卵セットをするのは6月~8月にほとんどおこないます。
時々9月にセットする場合もありますが時期としては上旬です。
というわけで今回試しに9月下旬にオオクワガタの産卵を1セットおこなってみました。
結果としては、
23頭の幼虫を回収することができ、大成功となりました。
今回はオオクワガタを秋に産卵させたい時のポイントや注意点などを紹介したいと思います。
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目次
オオクワガタが秋以降に産卵しなくなるのはなぜ?
オオクワガタは季節の変化を敏感に察知します。
体内時計のようなものが他のクワガタに比べてもしっかりとしていて、秋になり気温が下がってくると産卵モードから冬眠モードへと切り替わってしまうんです。
一度冬眠モードへ切り替わってしまうと、いくらそのあとに温度管理して25℃など高温を維持しても産卵しないケースが多いです。
オオクワガタを秋(9月下旬)に常温で産卵セットしたリポート
今回は下記のポイントで産卵にチャレンジしてみました。
■オス・メスとも未交尾のペアでおこなう
■温度管理は一切せず常温でチャレンジ
■産卵木には人工カワラ材を使用
温度管理して25℃くらいを保てれば秋でもグッと産卵の確率は上がるのですが、なかなか温度管理ができる人は少ないので常温でおこなってみました。
9月10日 オス・メスを交尾させる
産卵セットは9月下旬を予定していたので、その前にオスとメスを交尾させておきます。
今回は飼育ケース・コバエシャッター(小)に10日ほど同居させてみました。
いきなりメスはオスから逃げて潜ってしまいましたが・・。
エサ場は1ヶ所のみ設置、成虫管理用マットは浅めに敷いてあります。
数日ほどでオスとメスが一緒にエサ場にいるのが確認できました。
夜行性のためだいたい夜間に交尾することが多いので実際に交尾を確認するのは難しいのですが、未交尾同士なら数日も同居させればまず交尾します。
オオクワガタの交尾についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
9月20日 人工カワラ材を使用して産卵セットを組みました。
同居させてから10日経ちましたので、いよいよ産卵セットを組んでいきます。
今回は産卵木に「人工カワラ材」を2本使用しました。
人工カワラ材とはカワラタケ菌を人工的に植菌した産卵木のことです。
国産オオクワガタをはじめ、グランディス・ホーペ・タイワンオオクワなど材に産卵するタイプに効果的です。
メスの産卵欲を刺激し産卵率や産卵数のアップが期待できます。
一般的に通常のクヌギ・コナラの産卵木よりも価格が高価です。
秋はオオクワガタが産卵しにくい季節になりますので、少しでも産卵確率をアップさせるため人工カワラ材を使いました。
加水の必要もなく簡単にセットできるので初心者の方にもおすすめです。
オオクワガタのメスは自分の好んだ材を選んで産卵する傾向がありますので、2本ともセットします。
人工カワラ材の特徴として材のまわりを菌糸の膜が厚く覆っています。
産卵セットする際にはこの菌糸の膜を取り除きます。今回はメスが材に潜りやすいように皮の部分も半分だけ取り除きました。
皮をむいた面を下にして人工カワラ材を2本並べて置き、周りを微粒子の埋め込みマットで埋めます。
上部は乾燥しないように菌糸の膜もそのままにしました。
転倒防止材と高たんぱくゼリーを置いてメスを投入し産卵セットは完了です。
産卵セットが組み終わったら、あとはひたすら様子を見るだけです。
できるだけ静かな落ち着いた場所に置きましょう。セット中はマットや材を掘り起こすのは厳禁です。
メスを投入してから約1ヶ月は様子をみましょう。
オオクワガタの産卵セットについてはこちらの記事もご参考ください。
10月5日 産卵木が削られているのが確認できました。
産卵セットから約2週間ほど経過しました。
ケース側面をみてみると産卵木が削られているのが確認できました。
オオクワガタのメスは産卵木を掘って穴をあけて産卵します。
その際、産卵木の削りカスがケース側面から確認できます。これが産卵の兆候の目安のひとつです。
またメスが材を削る時に「ガリガリ」音がしますのでそれも目安になるでしょう。
10月19日 ケース側面と底に幼虫が確認できました!
メスが産卵木を削った様子を確認してから約2週間後、ケース側面と底に幼虫が確認できました!
↑こちらはケース側面。2令幼虫です。
↑こちらはケース底です。ちょっと見づらいですが初令幼虫です。
初令幼虫と2令幼虫という育ち具合が異なる幼虫が確認できたのは、メスが産卵した日が違うからです。
オオクワガタのメスは1日で全部産みきるのではなく、日数をかけて産卵します。
幼虫が確認できたらすぐに取り出したくなりますが、そこはちょっと我慢です。
初令幼虫がいるならまだ卵のままのものがあるかもしれないからです。
卵は取り出しにくかったり孵化させる管理も手間なので、全て幼虫なってある程度育ってから取り出しましょう。
幼虫が確認できたらメスがエサを食べにマット上に出てきたときに取り出します。
※結局メスは産卵木に潜ったまま外に出てきませんでした。気温が低くなりどうやら活動が鈍くなってきているようです。
その場合は無理に取り出さずに様子をみるのが良いです。
11月3日 産卵木を割り出したところ23頭の幼虫がとれました!
幼虫が確認できてからさらに2週間ほどが経過。
ケース底に確認できていた初令幼虫も2令に育っていました。
また他にも複数の2令幼虫が確認できましたので産卵木の割り出しをおこないました。
ちなみにメスは最後まで外に出てきませんでしたが、やはり気温の低下で活動が鈍くなっていたようで産卵木の中でじっとしていましたね。
いよいよお楽しみタイムです♪
産卵木を割ってみると幼虫がザクザク出てきました!
まだ初令幼虫もけっこういたので、傷つけないように慎重に掘り出します。
結果は23頭!思わぬ好結果となり驚きました。
早速、プリンカップ120㏄に発酵マットを詰めて幼虫を移し替えてあげました。
ひとまず人工カワラ材の約3分の2ほどを割った結果です。まだ残りの部分に幼虫がいそうでしたが材が固く割るのが難しかったのでケースに戻しました。
無理に割ると幼虫を潰してしまう恐れがあるためです。
幼虫が材を食べ進めば割りやすくなりますので、また数週間後に再トライしようと思います。
オオクワガタを秋に産卵させる場合のポイントと注意点
今回はオオクワガタを9月下旬に産卵セットしてみたところ、23頭もの幼虫がとれるという思わぬ好結果となりました。
実をいうと恐らく産まないのではと考えていて、予想では秋の産卵は難しいという記事内容になると思ってました。
結果オーライでしたが、今回上手くいったポイントは次のとおりだと思います。
■夏の終わりから秋にかけての気温が安定して高かった。
■オオクワガタの産卵に効果的な人工カワラ材を使用した。
■今回産んだメスが産む気マンマンだった。
まず何より重要なのが気温です。
今年は記録的な猛暑で、残暑も厳しく10月に入っても安定して気温が高い日が続きました。
ちなみに埼玉南部の9月・10月の気温がこちら。
出典:ヤフー天気
10月1週目まで30℃を超える日があり、その後も安定して20℃以上ありました。
室温は常温で25℃以上になっていた日が多く、低くても22℃は下回らなかったです。
オオクワガタは一度気温が低下して活動が鈍くなるとそのまま産卵しないケースが多いです。
そのため、冷夏だったり残暑がほとんどない場合や地域によって気温が低いと難しいでしょう。
2つ目のポイントが人工カワラ材を使用したこと。
やはりオオクワガタの産卵にはかなりの効果を発揮しますので、人工カワラ材によってメスの産卵欲が刺激された可能性は高いです。
今回2本セットしましたが、どちらの材にも産卵していました。
※もちろん人工カワラ材でも失敗する時はあります。
3つ目のポイントが「産卵する気マンマンのメス」だったということ。
身も蓋もない感じですがこれはかなり重要です。
オオクワガタも生き虫ですから個体によって差が出てきます。
夏でも全然産まないメスもいれば、今回のように秋でもガンガン産むメスもいます。
よく「産卵の確率を上げるにはどうすれば良いですか?」という質問を頂きますが、一番は複数のメスを産卵セットすることです。
複数のメスとその分の産卵セットを用意する必要があるので難しい方も多いと思いますが、実はそれが一番の方法といえます。
とはいえ、生き物なので産むかどうか分からないという不確定な部分が、逆に成功した時の感動に繋がります。
それが生き物を飼育する醍醐味でもありますので、失敗もふくめて楽しむのがクワガタ飼育かなと思います。
まとめ
オオクワガタは秋に常温で産卵するのかどうか試した結果を紹介しました。
今回は上手くたくさん産卵をしてくれましたが、気温などラッキーな要素もありました。
基本的には秋は難しくなると考えたほうが良いです。
理想はやはり6月下旬~7月上旬に産卵セットし、もし産まなかったら8月中に再トライ。
ちなみに温度管理をしっかりとおこなって夏からずっと活動させ続ければ冬季でも産卵することもあります。
ただ初心者の方には難易度が高いですので、秋にオオクワガタの活動が落ち着いてきたら越冬させて来春以降にチャレンジするのがいいでしょう。
今日はこのへんで。
それではまた!