オオクワガタ飼育の醍醐味のひとつは、産卵させて幼虫から育てることです。
オオクワガタのブリードといいます。
他のクワガタと比べてもオオクワガタの産卵は簡単におこなえますので入門種としてばっちりです。
ここではオオクワガタの産卵方法をまったく知らないという初心者の方を対象に、分かりやすくご紹介したいと思います。
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オオクワガタの産卵方法「産卵セット」とは?
産卵セットとは、オオクワガタに限らず他のクワガタムシやカブトムシを産卵させるときにも使う、産卵させるための環境をつくったセットのことをいいます。
オオクワガタや他のカブトムシなどは普通にオスとメスを飼っていても交尾はしますが産卵はしてくれません。卵を産み付けるための条件(環境)が整っている必要があるんですね。
その環境を飼育ケースのなかに人工的につくってあげたものが「産卵セット」です。
オオクワガタが産卵をするのに必要な条件というのは何でしょうか?
産卵させるために必ず必要になるのは次の2つのポイントです。
- 卵を産み付けるための産卵木がはいっている
- 産卵に適した時期・温度である
産卵木というのは、オオクワガタのメスを産卵させるための材のことです。この産卵木を使って産卵するような環境をセットしてあげます。
オオクワガタの産卵に必要な「産卵木」について
オオクワガタは自然下では朽ち木に穴をあけて穿孔(せんこう)し卵を産みつけます。
【写真はクヌギ材の産卵木。通常の産卵木は直径5cm~10cm以上、長さは12~14cmほど】
通常、産卵木はクヌギやコナラなどを使った椎茸のホダ木のことをいいます。椎茸栽培のために椎茸の菌を植え付け1年~1年半かけて菌がまん延して腐朽させたものです。この状態の材にメスが好んで産卵します。
オオクワガタの場合、産卵木は少し固めのものを選ぶと良いです。太さは細目のものを数多く使うか、太めのものを少なく使うか人それぞれですが、最低でも2本以上は使ったほうが良いです。
この産卵木を使って産卵セットをつくる際に必要になる飼育用品は下記のとおりです。
- 産卵木(2本~3本ほど)
- 飼育ケース
- 埋め込みマット
- 昆虫ゼリー(高たんぱくゼリー)
- 転倒防止材
これだけで産卵セットを組むことができます。
産卵セットの組み方はどうやるの?
では産卵セットの組み方をみていきましょう。
産卵セットを組んだ状態はこのようになります。

セットする手順をご紹介しますね。
- 産卵木を完全に水に浸した状態で3~4時間ほど加水します。産卵木が水を吸いきってしまえば大丈夫です。
- 加水した産卵木を2~3時間ほど陰干しして余分な水分を除きます。
- 飼育ケースに加水した埋め込み用のマットをケース底から4~5cmくらい固く詰めます。
- その上に陰干しした産卵木を横に並べて置きます。
- 産卵木やケースとの隙間に埋め込み用のマットを柔らかく詰めます。(産卵木の4分の3くらい埋まるように)
- 最後に高たんぱくゼリーと転倒防止材をバランスよく配置して完了です。
埋め込むマットの加水は手で握ったときに団子状になる程度で十分です。水がしたたり落ちるようでは水分が多すぎます。
産卵セットができあがったら、そこにオスとメスを1週間ほど一緒にして様子をみます。夜行性ということもあり交尾しているところを確認するのは難しいですが、1週間もあればほとんどの場合交尾済みと考えられますので、1週間経ったらオスだけ取り出します。(オスをずっと一緒に入れておくとメスが産卵に集中できなかったり、メスを殺してしまうことがあるためです)
オスを取り出してからは約1ヶ月くらいそのまま様子をみます。このときに産卵セットを動かしたり産卵木を掘り起こしたりはしないでください。メスは産卵行動にはいると2~3週間くらいかけて産卵します。
メスが産卵行動にはいると産卵木を削ったり穴をあけて穿孔したりします。ケースの外からみて産卵木がかなり削られている様子が確認できれば産卵している可能性が高いです。
産卵行動にはいるまでの期間は個体差によってまちまちですので、すぐに産卵の兆候がみられなくても大丈夫です。
オスを取り出して約1ヶ月くらい経過し、産卵木も削られて産卵している様子がみられたらメスが外に出てきているときに取り出しましょう。
あとは、さらに2~3週間ほどそのままにして中の卵が幼虫に孵化するのを待ちます。卵の状態で出してしまうと死亡リスクが高くなりますので、全ての卵が孵化するのを待ちます。
頃合いが良くなりましたら産卵木を割り出して幼虫を取り出します。ここが一番楽しい瞬間ですね!
オオクワガタの産卵に適した時期・温度とは?
オオクワガタには産卵に適した時期と温度があります。安定して温度が25℃前後あるのが理想です。温度が低いとメスの活動が鈍くなって産卵しなくなります。20℃を下回ってしまうと難しいでしょう。
また、オオクワガタは体内時計のようなものがしっかりとしていて、たとえ冬季に加温して25℃前後の室温をキープしたとしても産卵しないことがほとんどです。そのため、オオクワガタを産卵させるには5月下旬頃~9月上旬頃までと期間が限られてきますので注意が必要です。
オオクワガタは一度産卵してもメスを休ませて再セットすればまた産卵してくれたりします。ですので6月中くらいまでに一度産卵セットをして結果をみて、また8月くらいに再セットするのもおススメです。
まとめ
オオクワガタも生き虫ですので必ず産卵してくれるというわけではありません。適切な産卵セットを組んでもなかなか産んでくれないこともあります。だからこそ上手く産卵してくれた時はとても嬉しいものです。
オオクワガタの産卵には大掛かりなセットは必要なく、(中)サイズ~(大)サイズくらいの大きさの飼育ケースで産卵セットが組めるので場所も選びません。気軽にチャレンジできるので、興味をもった方は是非オオクワガタの産卵にチャレンジしてみてください。
今日はこのへんで。
それではまた!